君と笑えたらそれがいい/錦戸亮さん (36) に寄せて

 

 錦戸亮さん、36歳のお誕生日おめでとうございます!!! 

 

 

 

 錦戸亮さん(36)———。36歳。『10年目だよ!見なきゃソンSONG ジャニーズカウントダウン歌合戦』にて披露された年男ユニットチューチューセブン黒紋付袴に身を包み「今年も本当に頑張って、意味のある2008年になったらいいなと思います!」と意気込みを語っていた錦戸さん (当時23歳) 。あれから12年、ちょうど干支が一周した今年。若さ故の危うさを纏っていた20代前半から、円熟した大人の色気すら醸し出す30代中盤へ。歳を重ねるほどに魅力を増して、ますます目が離せなくなっている。かっこいい大人になったなと思いに耽る、そんな2020年11月3日です。 

 

 

 

 錦戸亮さん。35歳、貴方にとってどんな一年になりましたか? 

 

 

 

 2019年9月30日を以って、12歳から約22年間所属したジャニーズ事務所を退社。その翌日から自主レーベルNOMAD RECORDSを発足し、ソロアーティストとしての活動をスタート。デビューアルバムNOMADのリリース、初のライブツアーの完走と、ソロアーティストとしての一連の活動をたった半年でやり遂げた錦戸さん。 

 

 

こんにちは。 

錦戸です。 

元気ですか? 

何かしてないとやばいっすね。 

僕は回遊魚ですね。 

溺れないようにしないとね。

 ———いつかの関ジャニ戦隊∞レンジャーでそう語っていたように、まるで本当に回遊魚にでもなったかのように、独立後、休むことなく密度の濃い時間を走り抜けた錦戸さん。責任や経験を誰かと分かち合うこともなく、全てを自分が受け止める状況に苦しさはなかったか?そう問われ、 

苦しいことなんてなかった。辛いことは、ほんまにゼロって言ってもいいくらいないかもしれない。

  だなんて、もう。かつてお墓に入るまで付き合っていきたい関係」と語っていた、ようやく見つけた居場所 (=関ジャニ∞) を離れて、一人でやっていく決意をした。そう決意をしたのは紛れもなく自分の意志だけれど、ソロアーティストとしての活動を開始しアルバムをリリースするまでの2か月弱、ずっと自宅に缶詰状態になり、リリースする楽曲全ての作詞・作曲を手掛けたという錦戸さん。誰に意見を仰ぐわけでもなく、「なんやねん俺」って思いながらもやっていたというその期間は、四人兄弟の三男坊として生まれ育ち、ジャニーズ事務所としては初の試みとなる2つのグループ (=NEWS関ジャニ∞) を掛け持ちしてのデビュー。常に家族やメンバーに囲まれていた日々を過ごしていた彼にとって、きっと孤独であったに違いありません。苦しくない、辛くないはずなんてないのに。精一杯「苦しい」「辛い」という感情という感情に蓋をして、ひとり孤独と向き合いながらあれだけのクオリティのアルバムを作り上げたのだと思うと、それだけで胸が詰まる思いがしますが。改めて、そう言い切ってしまえるところに強さを感じずにはいられなくて。 

 

 

 こうして完成した自身初となるソロアルバム『NOMAD』の素晴らしさは言わずもがな。ジャニーズ事務所の長きにわたる歴史の中でも、2つのグループで同時並行で活動してきたという経験を持つ錦戸さん。いくつもの視点が己の中に並走するような稀有な感覚を持ち合わせた彼ならではの、自意識のようなものを凌駕した、かなりバラエティに富んだ楽曲の数々。アルバムからの先行配信曲であり、実体験に基づくノンフィクション的な状況と心境を歌った『バッジ』、女性目線の歌詞が印象的な『ヤキモチ』、高校時代の同級生の結婚式のために作ったという真っ直ぐなラブソング『いとしのエリ』———。ジャニーズ事務所所属のアイドルだった時代には考えられなかった楽曲の数々に、まだ見ぬ才能や可能性の奥行きを感じずにはいられなくて。 

 

 

 

 退所することは、同時に大手事務所という後ろ盾をなくすということ。不安はなかったか?という問いに「不安はありましたよ、もちろん。」と前置きをしながらも、 

今、35歳。おっさんになっても同じことをしている自分は考えられない。まだ天井が見えない早いうちに舵を切ろうと思いました。大きい船から飛び降りて、小さいヨットに乗り換えたって感じですかね。これまでは乗組員の顔もわからん、ボイラー室に誰がおるのかも知らんほど、でかい船だった。守られてた。

 

ほかの人が創った歌を、中途半端な歌唱力で歌うくらいなら、一生懸命に自分が創ったメロディと言葉で、へたくそでも歌うほうがカッコいいと思う。そっちを選んだ。

  ———長年苦楽を共にしてきた、ツインボーカルの“片割れ”の脱退。そして、グループの中では唯一の同級生であるメンバーの髄膜腫の開頭手術。予想すらしていなかった2つの大きな出来事で、それぞれが“自分たちの人生”、“これからの生き方”を考える中で、錦戸さんが選択したのが、関ジャニ∞からのグループ脱退とジャニーズ事務所からの退所。「いろんなタイミングが重なったのが、去年やったのかな」と振り返るように、人生の岐路で大きな決断をした錦戸さん。 

 

 

「僕なりの形で、僕なりのエンターテイメントは何なのかを、改めて考え、これからも発信し、恩返しできるよう努めていきたいと思います」

 ———その言葉が示すように、独立後のクリエイションはより血が通い、心が伴ったものばかりで。昨年末からの新型コロナウイルス蔓延の影響を受け、今年5月24日にハワイで開催が予定されていた赤西仁さんとの共同プロジェクト『N/A』のライブは中止に。落胆していたファンの元に届いたのは、『NO GOOD TV』のYouTubeチャンネル開設でした。『N/A』に限らず、感染拡大を防ぐため大規模なライブやコンサートが軒並み延期や中止になる中で、自宅で自粛生活を送っている人を少しでも楽しませたい。何かできることはないか、しっかり考えて提示してくれたのだということが見てとれて。日本とアメリカ、それぞれの自宅から動画を配信。住んでいる部屋の雰囲気が分かるだけでも身内のような親しみが湧いたのですが、何より、2人の雰囲気がリラックスして、とても楽しそうなことに引き込まれて。表情にも、発言にも、一つも嘘や無理や背伸びをしている様子がなくて。新たな魅力を再発見できました。一日でも早く、感染が収束する未来でありますように。その日まで、共に生き抜いていきましょう。

 

 

 

 そして、10月7・8日には、自身初となる無観客配信ライブ『錦戸亮 ONLINE LIVE “孤軍奮闘” at 日本武道館』『錦戸亮 ONLINE LIVE “不撓不屈” at 日本武道館』を開催。今年秋にアリーナツアーの開催を予定していたものの新型コロナウイルスの感染拡大を受けて開催を見送り、その代わりに今回の配信ライブに挑戦。日本武道館の入口前にたった一人で立ち、ソロアルバムのリード曲である『ノマド』をマイクを通さず、アコースティックギターの弾き語りで歌い出した錦戸さんを見ていたら。気づいたら、頬に涙が伝っていました。

 

 

 「派手な装飾なんていらない。ただスタンドマイク1本で歌っているだけで、かっこいいと思われるグループになりたい」———かつてそう語っていたように、派手な装飾もなければ、他に演者もいない。アリーナ中央の小さなステージにあるのは、スタンドマイク1本と、ずらりと並んだギターのみ。そんなシンプルなステージにたった一人で立ち、全10曲を歌い上げた錦戸さん。

 

 

マジでソロアルバムだそう。

 

なんかいろんなアーティストに協力してもらってありがたいし、光栄なことやけど、 

マジで悔しい。 

だったらソロアルバムだ。 

みんな権力者に囁いてくれ!! 

錦戸にソロを 

錦戸にソロを

  ———あの頃思い描いていた未来とは少し違くても、錦戸さんと笑えたらそれがいい。そう思えるようになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

23歳だった、錦戸亮さんへ。

 

 今から13年前、2007年11月7日にリリースされたNEWSの7枚目のシングル『weeeek』に、こんな歌詞があります。

 

大人になるってどういう事? 

外面良くして35歳を過ぎた頃オレたちどんな顔? 

かっこいい大人になれてるの? 

  ———当時、23歳だった錦戸さんが歌っていたこのパート。あれから13年、この歌詞の通り「35歳を過ぎ」てしまった、この2020年11月3日。その頃の錦戸さんといえば、NEWSと関ジャニ∞の二足の草鞋を履き、片方のグループ*1ではグループ初となる台湾での単独公演を成功させ、もう片方のグループ*2ではジャニーズ事務所初となる47都道府県全てを回る全国ツアー (全113公演) を完走するなど、ブレイクの兆しを見せていました。その当時中学生だった私には、十分過ぎるくらい“かっこいい大人”に見えていたけれど、35歳を過ぎた今。若さ故の危うさや刺々しい雰囲気はすっかりなくなり、その佇まいにはどこか余裕すら感じられて。

 

 大丈夫。かっこいい大人になれてるよ。と、そっと背中を押してあげたいです。

 

 

 

 錦戸亮さん。大きい船から飛び降りて、小さなヨットに乗り換えて、見えた景色はどうですか?

 目的地なんて今はまだ言えなくたって、どうだっていい。右往左往するより、進んでいたい。一人になった今、自分で自由に舵を切れる状況にいて、自分次第でどこにでも行ける。大海に漕ぎ出した今、錦戸さんが操縦する小さなヨットの客席に座って「あっちの空、天気悪そうだからこっち行く?」って、まだ見ぬ場所へ、一緒に旅に出たいと思います。

 

 

 

 

 

 今までもこれからもいつまでも、隣にいてください。

 今日という日が、錦戸さんにとって素敵な一日になりますように。

 

 

 

 錦戸亮さん (36) の未来に幸あれ!!!