“天性のアイドル”だった、錦戸亮さんへ。

 

 “関ジャニ∞よりファンの皆さまへ大切なお知らせがあります。”

 

 

 

 ———2019年9月5日。午後3時5分。

 関ジャニ∞ファンクラブ会員宛てに、そう記されたメール伝言板が届きました。デビュー15周年を記念した5大ドームツアー『十五祭』が千秋楽を迎えた、たった2日後というタイミングでの“大切なお知らせ”。ジャニーズ事務所からこのような文面のメールが届くのは、幸か不幸か今回で2度目だったので、その“大切なお知らせ”が良い知らせでないことは、私のオタク人生十数年で培った経験上、何となく分かっていました。そして、それは大切で大好きな人・錦戸亮さんのこれからに関することであろうことも。

 

 

 今年の3月初旬。一部週刊誌で錦戸さんの関ジャニ∞からのグループ脱退とジャニーズ事務所からの退所が報じられてから、いつかは(しかも、そう遠くはない未来に)そんな日が来るかもしれない。もちろん、来てほしくなんてないけれど、彼がどんな決断をしようとも、それを全て受け入れられるだけのキャパシティは持ち合わせていないといけない、と。心のどこかで覚悟はしていたつもりでした。『十五祭』千秋楽、画面に映し出された“To be continued……”の文字。

僕らの歴史は、ここからはじまる。

 1,000人の客席さえいっぱいにすることができなかった彼らが、総動員数1,000万人を突破した今。気持ちを新たにしてデビュー16年目を迎える中で、その歴史を創っていくメンバーの中に彼がいないだなんて。本当は、全く覚悟なんてできていなかったのです。

 

  

 昨年末頃より目立ち始めた、一部のメンバーによる後輩グループ(関西ジャニーズJr.)のプロデュース活動。

 錦戸さんが主演を務めた2019年冬クール(1~3月期)の月9ドラマ『トレース~科捜研の男~』。その主題歌である、関ジャニ∞が歌う『crystal』。メンバー主演ドラマの主題歌というタイアップが付いた新曲。ドラマ放送期間中である3月にリリースされたにも関わらず、発売週前後の音楽番組で一切披露されなかったこと。

 2005年5月19日からJohnny's webの会員向け(有料コンテンツ)に連載されている『関ジャニ戦隊∞レンジャー』。その原稿14年分を1冊にまとめた本が、『十五祭』のグッズとして販売されたこと。

 『十五祭』ラスト。メンバー6人がVTRでファンへの想いを語る中で、

「 生きていれば、いろんなことがあります。僕たちも、皆さんも、その真っ只中にいる時は、自分がどこに立っているのかさえも分からない。どこかに根を張っているのか、今、蕾になっているのか、いつかは花を咲かせられるのか、自分では分からないことです。でも、僕たちはこれだけ個性のあるグループなんです。

 だからもし、別々のタイミングであっても、例え違う場所にいても、いずれは綺麗な花を咲かせてくれるといいなと思っています」 

  ———と結んだ大倉さん。

  『十五祭』千秋楽、フォトスポットに横一列に並んだ8体のGR8EST BOY。 

 

 

 大倉さんのメッセージに関しては、関ジャニ∞というグループを離れていった2人(内くん・すばるくん)のこと、本編ラスト『咲く、今。』への前振りも込められていると解釈していたので、そこまで深く気に留めていなかったのですが。中でも一番気がかりだったのは、『十五祭』が千秋楽を迎えた9月3日以降、関ジャニ∞というグループとしての活動が全く見えてこなかったこと。もちろん、俳優業やバラエティ、ラジオ番組など個人としての活動も目立つようになった近年、決して珍しいことではないのかもしれません。

 けれど、先日行われた『関ジャニ∞のジャニ勉』の収録。来月10月15日に開幕する主演舞台『忘れてもらえないの歌』のリハーサル真っ最中である安田さんはまだしも、錦戸さんも欠席であったこと。そして、千秋楽公演から2ヶ月も経たないうちに『十五祭』のDVD&Blu-rayがリリースされること。前回の『GR8EST』が約4ヶ月後、前々回の『ジャム』が約6ヶ月後だったので、まさに異例のスピードでのリリース。こんなにも急いでリリースしなければならないのには、まだ表には出せない深い事情があるはずだ、と。

 

  そんな時に届いた、一通のメール伝言板。そのどこか見覚えのある文面が、約1年半が経った今、再び自分の元に送られてくることになるなんて。しかも、その内容が想像できていたから。そして、その当事者が彼であろうことも分かっていたから。ついに、ついに、恐れていたことが現実になってしまう。あれ?息ってどうやって吸って、どうやって吐くんだっけ?———落ち着け、落ち着け。と思いながら、胸に手を当てて。目を閉じて。ただひたすらに、深く息を吸って、長く息を吐くことだけを意識して。その繰り返しをしながら、約1時間。彼(彼ら)からの言葉を、待ちました。

 

 

  錦戸さんと、これからの関ジャニ∞5人の連名のコメントを読んで、真っ先に漏れたのは「そうか……」の一言でした。きっと今までの私なら、結果は同じでも受け止め方はまるで違ったでしょう。それは、あの日———2018年4月15日。世の中に「絶対」なんてないことを知ってしまったから。傷つくことを恐れて、目の前の現実から目を背け、見ないふり気づかないふりをして。四方八方から飛んでくる鋭い矢から自分を守るため、頑丈な鎧を纏って。必死に予防線を張っていたからなのだと思います。

 

 

 

 正直、世の中に「永遠」なんてない。 

   誰よりも「永遠」という言葉を信じ、「永遠」という言葉に縋っていたはずの彼が、そんな言葉を口にしたあの日から。「永遠」なんてないけれど、せめてあと少し。もう少しだけ。“錦戸亮が引っ張るこれからの関ジャニ∞”を、見ていたかった。

 

 

 

 横山さん。多分、横山さんにとって今の年下組が初めての後輩だったのだろうと思います。三人兄弟の長男で面倒見のいい横山さんにとって、それはそれは可愛くて仕方のない存在だったであろうことが過去の映像からも見てとれます。その中でも、群を抜いて小さかった錦戸さんを特に可愛がっていた印象があって。今考えてみると、親元を離れて東京で一人で仕事をする錦戸さんに無意識に年の離れた自身の弟の姿を重ねていたのかもしれません。Jr.時代、まだまだ駆け出しでお金もない時期に横山さんが食べ放題の焼肉に連れて行ってくれたのがよっぽど嬉しかったのか、(20年以上前のエピソードを)未だに顔を赤らめて話す錦戸さんと、恥ずかしそうに振り返る横山さん。照れ屋で恥ずかしがり屋の2人なので、お互いの距離感を掴むのが本当に下手くそで、一方的にやきもきさせられたりもしましたが。メンバーの中で唯一横山さんだけが呼ぶ「どっくん」というあだ名。きっと、錦戸さんにとっても「横山くん」だけの特別なものだったのだろうと思います。根っからの長男気質でしっかり者の横山さんと、根っからの末っ子気質で甘えたな錦戸さん。そんな2人がユニットを組み、共同制作した楽曲『バナナジュース』。2012年に発生したバナナジュース事件。その3年後、冗談交じりの「そんなにバナナジュース好きなら曲作れや」という言葉が、現実となる日が来るなんて。タイトルが発表された時は、本当にこのネタで作ったのか……!と思わず笑ってしまったけれど、まさかのトランペット×横山さん・サックス×錦戸さんというムーディでオトナなアレンジに度肝を抜かれ。こんなにお洒落で甘酸っぱくて、素敵な物語になるなんて。演奏を終えた後、達成感に満ち溢れた表情で、ハイタッチを交わす2人が大好きでした。発表当日の昼、いつもと何ら変わらない様子で『ヒルナンデス!』に出演していた横山さん。番組終了後、同じく木曜パーソナリティを務める事務所の後輩(ジャニーズWESTの桐山くん、中間くん)の楽屋まで足を運び、「迷惑掛けるかも」と話していたというエピソードを聞いて、あの笑顔の裏に一体どれだけのものを抱えていたのだろうと。「関ジャニ∞は、僕らだけのものじゃない」「僕らの感情や思いだけで、どうのこうのなるようなグループじゃない」から。ここで、歩みを止めたくなかったのだろうと。最後まで強く逞しく、そしてどこまでも心優しい「どっくん」のお兄ちゃんでいてくれて、ありがとうございました。

 

 村上さん。錦戸さんが東京で一人暮らしを初めて間もない頃、寂しくて仕方がなくなり「村上くぅん、一人暮らしって何食べたらええの……」と電話をしたという、かの有名なエピソードがありますが。こうやって、寂しいと思った時に無条件に甘やかせてくれる村上さんの存在に、錦戸さんは何度も助けられたのではないかと思っています。お互いの仕事について、

錦戸「俺は、ドラマとか映画とか集中的に働くから。漁に出るみたいなもんやね (笑) 」

村上「俺は畑耕すほうやからね (笑) 。でも漁には漁の大変さがあると思うわ。大量の旗上げんと帰れんようなとこがあるし」

錦戸「それはあるな。でも村上君はいろんな作物育てなあかんからね」

村上「あっちで肥料やったりこっちで水やったり、な (笑) 。お互い頑張っとるなー」

 ———と、俳優業と司会業。フィールドこそ異なりますが、お互いの仕事を認め合って、讃え合って。馴れ合いではなく、誠心誠意、目の前の仕事に全力で取り組む。“プロ”のエンターテイナーの2人が大好きでした。唯一の心残りがあるとすれば、村上さん×錦戸さん、2人のユニットが見られなかったこと。錦戸さんが作詞をした村上さん×丸山さん×錦戸さんのユニット曲『ビースト!!』のセリフパート。同じく錦戸さんが作詞・作曲をした『Tokyoholic』、「アイム  ソー  ダム  ハングリー  満たされへんまままた消化してく  エビデイ」然り、“プロデューサー・錦戸亮”が演出する世界観の中に存在している村上さんが大好きだったので、「さあ、次は何をしでかしてくれますか?」と楽しみにしていたのですが。『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』。番組冒頭、“相方が人質に取られたらいくらまで払う?”という質問がされ、「(関ジャニ∞のメンバーとして)絶対人によるでしょ!」「一番高い人は2人います。大倉錦戸は一番払います」「俺正直、『なんぼ払ろたらええねん!』って言うて、(相手が)言うてきたら、もう一発でその額……『分かった』って言いますよ」「2億(円)でも。逆に『2億(円)でええんか?』って聞く」と答えた村上さん。3月末には今の体制になることが決まっていたそうなので、どういった気持ちで言ったかどうかまでは分かりませんが。ライブのMC、自分から話題に入って行くのが苦手な錦戸さんに「亮は?」と何度も話を振ってくれたり、錦戸さんのことを話す時「あの子」と言う村上さんが大好きでした。ちょっと難しい子でしたが、そんな「亮」ですら温かく受け入れてくれて。一人でやっていくと決めた彼の背中を押してくれて、ありがとうございました。発表当日の夜、『FIBAバスケットボールワールドカップ2019』にスタジオ生出演していた村上さん。体力・気力ともにタフな印象の強い彼ですら、さすがに疲れ切っているように見えました。どうか、どうか、ゆっくり休めていますように。

 

 丸山さん。錦戸さんが抱く年上組への「好き」や「憧れ」といったものとは相反した意味で、丸山さんのことが大好きなのだろうと思う瞬間がたくさんあって。

丸山「もし僕が女の子やったら、メンバーの中で一番顔がタイプです」

錦戸「僕が女の子やっても、君の顔が一番タイプです」

  ———普段は「マル!マール!」と噛みつき、丸山さんが思わず「僕の方が年上やのに……」とぼやくほど、当たり強めの錦戸さんですが。けれど、それは決して貶している訳ではなくて。メンバーとしてその努力を間近で見てきているからこそ、2012年夏クールに放送されたドラマ『ボーイズ・オン・ザ・ラン』で、丸山さんが連続ドラマ単独初主演を務めることが発表された時。口に出すことはありませんでしたが、実はとっても嬉しかったのだろうと。『えげつない』、錦戸 VS 丸山 フリースタイルラップバトル。5大ドームツアー、札幌・大阪・名古屋・東京と4都市を廻り、その最終都市・福岡。これまでオリジナルで歌われてきたものではなく、自らラップ部分を作詞。この日のためにスペシャルバージョンで披露した錦戸さん。VSと謳ってはいますが、そこには錦戸さんから丸山さんへの溢れんばかりの愛情しか詰まっていなくて。恐らく、当日まで知らされていなかったのでしょう。錦戸さんからの不意打ちに「亮ちゃん…えっと、ちょっと待って……いやー、あの…嬉しいんやけど……あ、ありがとう亮ちゃん。あの…ホンマに……いつも、笑ってくれてありがとう。大好きです」としどろもどろになってしまい、思わず愛の告白大会に発展してしまったところも含めて、まるっと愛おしくて。村上さんと同じく、丸山さん×錦戸さん、2人のユニットが見られなかったことだけが残念ではありますが。錦戸さんが関ジャニ∞として最後に作詞した『月曜から御めかし』。発表当時錦戸さん、丸山さん、村上さんの順に揃って月曜日に番組に出演していたので、そんな2人のことも考えて作ったのだとしたら。それこそ、“粋なサプライズ”だなと。生出演した『サタデープラス』番組冒頭、今回のことで様々な報道がなされる中「何かちょっと変な風に伝わってしまう部分がある」と前置きした上で、「亮ちゃん一人がどうという風に取られてしまうと、僕たちグループとしても彼としても違う感じがするので、そこだけは勘違いしてほしくない」と、すかさずフォローを入れてくれた丸山さん。最後の最後まで多くを語らなかった「亮ちゃん」を守ってくれて、ありがとうございました。

 

    安田さん。錦戸さんとは、共に1984年生まれ。グループの中では唯一の“同級生”。見た目や性格、ほぼ両極端のところにいる2人ですが、その2人が並ぶと特別な空気感があって。言葉にできない信頼感と、阿吽の呼吸、とでも言いましょうか。そんな同い年の2人ですが、立場的には錦戸さんより安田さんが遥かにお兄ちゃんだと感じることが多々ありました。それは、安田さんが持っている“器の広さ”。錦戸さんがどう思っていようと、周りが錦戸さんのことをどう見ていようと、安田さんの中での錦戸亮という芯は決して揺るぎない。そして、錦戸さんから見た安田さんは、メンバーの中で唯一自分の弱いところも情けないところも、全てを曝け出せる人。ジャニーズ事務所に入所してすぐの頃から脚光を浴び、まさにエリート街道を突き進んでいた矢先。突然仕事が来なくなり、地元・大阪のアメ村で遊ぶだけの日々を過ごしていたという錦戸さん。そんなある日、『MUSIC STATION』に同期の安田さんと丸山さんが出演し歌っているのを目にし、ジャニーズ事務所を辞めると決心。その後、辞める旨を電話で伝えた時、安田さんに「もうちょい頑張れよ」と励まされたことで、続けることを決めた、と。あの電話のやりとりがなければ。さらに遡ると、1997年9月。丸山さん・安田さん・大倉さんと一緒のオーディションでジャニーズ事務所に入所した錦戸さん。会場では、安田さんが受験者全員に住所と電話番号を聞き、住所録を作っていたそう。錦戸さんにはその目的が一切分からなかったそうですが、「履歴書に書いてた電話番号が間違えとって、(事務所の人が)ずっと電話しても繋がらへんって。後々知ったんですけど、安田くんが住所を交換してくれてたから、それで『あの子の住所知ってます』って」と、結果として命拾いをすることになった錦戸さん。安田さんがいなければ、錦戸さんに出会うことすらなかったのだと思うと、本当に感謝しかありません。『ジャニーズカウントダウン』年男ユニット、袴姿にねずみのカチューシャの2人、見たかったな。満身創痍の状態の中、2人が作詞・作曲した『All you need is laugh』。一生のタカラモノにします。「同い年やし、怒ってくれる」。いつだって対等に向き合ってくれた「章ちゃん」の存在に、錦戸さんは何度も救われたのだろうと思います。いつも傍にいてくれて、ありがとうございました。

 

 大倉さん。 実年齢は錦戸さんが大倉さんよりも1歳年上ですが、四人兄弟の三男坊の錦戸さんと、関ジャニ∞の中では最年少だけれど三人兄弟の長男である大倉さん。大倉さんの“大らかさ”が影響しているからなのか、感情剥き出しで形振り構わず吠える錦戸さんを優しい眼差しで見つめる大倉さん、というように立場が逆転する場面がたくさんあって。「俺、アイツがおらな駄目やねん」———アイツ=内くんを失った、2005年の夏。 

「いやらしい言い方やけど、最初はメンバーの中で俺と内が引っ張ってってる、みたいな感じがあったやん?だから、その内がいなくなって、その後にドラマ『1リットルの涙』の話が来た時に、俺はこの仕事を死ぬ気でやらなあかんと思った。だから、ジャニーさんに電話して「東京に住んで死ぬ気で頑張ります」って言ってん。で、大倉にもそれを言った。その気持ちを伝えたいっていうか、同じ思いを持って欲しかったんやと思う」

 ———と、大倉さんにだけその胸の内を明かしたという錦戸さん。2002年12月、関ジャニ8が結成されると同時に、メンバーに最後に加入した大倉さん。そのためか、大倉さんを舐めていた部分があったそう。タッキー&翼大阪城ホールでライブをした時、思わず「ちゃんとやれ!」と叱って以来、誰よりも努力する人だと知ったから。誰に対しても虚勢を張る部分も多い錦戸さんですが、大倉さんになら、という思いがあったのだろうと思います。言わずと知れた“関ジャニ∞の花形”の2人。20代前半の若さ故の危うさを纏っていた『torn』を経ての、30代の円熟した大人の色気すら醸し出す『Steal your love』。しかも、sylが実現したのは「久々に一緒にやりたい」という大倉さんの誘いがあったからだそう。唯一の幼馴染のような存在である、「りょうちゃん」の旅立ち。「覚悟できていたはずの僕も、ぽっかり心に穴が空いたみたい」「すげえ寂しい」。自らがパーソナリティを務めるラジオ番組『オールナイトニッポンサタデースペシャル大倉くんと高橋くん』冒頭、ファンへ今の思いを伝えたいと用意してきた手紙を約10分に渡って読み上げた大倉さん。途中、何度も言葉を詰まらせながら、率直な思いを伝えてくれたこと。「りょうちゃん」にとって唯一の“弟”。隠し切れない本音からくる大倉さんの言葉に救われました。ありがとうございました。

 

 

  今はまだ、錦戸亮のいない5人の関ジャニ∞を全く想像できません。当日、17時に更新されたメッセージ動画で確認することはできたけれど、どうしてもそこに違和感しか感じられなくて。目標としていた人(錦戸さん)を見失ってしまった今、「これが今の関ジャニ∞です」と言われても、どんな気持ちで受け取ったらいいのか。その答えが、まだ見つけられずにいます。

 

 

 けれど、長年苦楽を共にしてきたメンバーの脱退、そして安田さんの大きな怪我。予想すらしていなかった2つの大きな出来事で、それぞれが“自分たちの人生”、“これからの生き方”について考える中で、グループを閉じるという選択肢もあった中、こんな状態でも頑張っていこうと5人でも関ジャニ∞を続けると決心してくれたこと。3月末に今の体制になることが決まっていたものの、ファンに心からコンサートを楽しんでもらいたい、デビュー15周年を迎えられたことに感謝したいという強く熱く純粋な思いから、コンサートツアーが終わるまで報告を控えてくれていたこと。その事実には、ただただ感謝しかありません。もちろん、グループがいつまで続くかなんて分からない。そして、そこに彼がいるのかさえも分からない。そんな不安を抱えた中で迎えた『十五祭』でしたが、始まってしまえばそんな不安も吹き飛んでしまうくらい楽しくて。6人の関ジャニ∞最後のライブが、悲しいだけの涙で終わらなくて、良かった。「傷だらけでも、泥臭くても、前を向いて上を目指す」。元々、ドブ板めくって出てきよったグループ*1だから。色々な転び方を知って、受け身を覚えた彼らなら、きっとどこへだって行けると思います。もう一度、君がくれた笑顔で笑いたいから。泣いててもいいから、笑顔で会えるといいな。

 

 

 

 この先5人の関ジャニ∞が歩む道に、聖なる光が射しますように!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

錦戸亮さんへ。

 

 今、どんな気持ちでいますか?

 体を鍛えたり、友達と話したり、お酒を飲んだり。やりたいことができていますか?

 今、心の底から。思いっきり笑えていますか?

 ———“NO ONE LOVES ME”、“Mr.Lonely”……寂しがり屋のうさぎちゃんな錦戸さんのことだから、また一人で抱え込んではいないかと。いくら無理をするなと言ったところで、絶対に無理をしないはずのない彼のことだから。限界なんてとうに超えているはずなのに、必死に「頑張らなな」と自分自身を奮い立たせて「死ぬ程頑張る」彼のことだから。本当に、一人になってしまった今。君が泣いていないか、泣いていないか心配です。

 

 錦戸さんがジャニーズ事務所に入所してから21年。私がファンになってからは14年。ペースの差こそあれずっと表舞台に立ち続けてくれていたので、先行きが見えない。7月から始まる5大ドームツアーを最後にグループから脱退、9月末にジャニーズ事務所を退所することが決まり新たな活動をする、ということだけは分かっていますが。 

「僕なりの形で、僕なりのエンターテイメントは何なのかを、改めて考え、これからも発信し、恩返しできるよう努めていきたいと思います。」

 ———彼が言う、“僕なりのエンターテイメント”。その本質が、このジャニーズ事務所を通して発表された文書から、全く読み取れないこと。芸能活動を続けていくであろうことは確定だとして、何をやっていきたいのか。常に具体的な活動の指針を示して、力強い言葉で導いてくれた錦戸さんなので、今までとは明らかに違う現状に戸惑いを隠し切れずにいます。

 

 

 

 今から14年前の秋、ドラマ『1リットルの涙』。頑固で意地っ張りで不器用だけれど、一途に恋人を想い続ける。そんな麻生くんを演じる錦戸さんに心を惹かれて。いつの間にか、気になる存在へと変わっていった頃。偶然目にしたニュース番組で、“俳優・錦戸亮”だけでない。NEWSと関ジャニ∞、2つのグループに所属する“アイドル・錦戸亮”として、2つの顔があることを知りました。

 

 ジャニーズ事務所としては初の試み、2つのグループを掛け持ちするという前代未聞の活動をすることになった錦戸さん。2つのグループを掛け持つということは、単純にメンバーの2倍働くということ。“NEWS・錦戸亮”として、“関ジャニ∞錦戸亮”として。二足のわらじを履く、唯一無二のアイドルだったからこそ、1つのグループにいただけではできない経験をすることができた。けれど、その経験が時として彼を苦しめることもあったのではないかと。なぜなら、喜びや楽しみだけじゃなく、悲しみや苦しみも2倍なのだから。

 

 

 NEWSと関ジャニ∞、2つのグループを掛け持ちするアイドル。2003年9月15日から2011年10月7日まで。NEWSと関ジャニ∞両グループの掛け持ちを解消し、関ジャニ∞一本で頑張っていくと決意するまでの約8年間。ただ単純に事実を伝えるだけなら、この言葉だけで十分なのかもしれません。

 

 

 今回のことで、新聞・雑誌・テレビ番組・ラジオといったマスメディアが様々な報道をする中。錦戸さん本人が何も語らないのをいいことに、「~でやっていきたいと思っているらしい」「~に憧れたらしい」と、何の根拠もなく臆測や思い込みで勝手に真実を作り上げ、その臆測や思い込みを恥ずかしげもなく披露するコメンテーター、自称・関係者に、そろそろ嫌気がさしてきた頃。同じジャニーズ事務所の先輩である(国分)太一くんがメインMCを務める朝の情報番組『ビビット』を見ました。脱退から退所までの経緯、錦戸さんのこれまでの活躍をVTRで紹介した後、

「年齢的には34歳です。普通の仕事をしていても、いろんなことを考えると思います。サラリーマンの方でも、転職なんかを考える。グループとしての存続も考えたと思うんですけど、それプラス一人として『何ができるんだろう』というチャレンジを考えるのも普通だと思うんですけどね。

 その結果、錦戸の場合は関ジャニ∞を脱退し、ジャニーズ事務所を退所し、そこから僕ができることは何だろうというような、旅に出たんじゃないかな

  ———そう、コメントした太一くん。

 

「僕の中の錦戸くんというのは、ずっと同じグループで8年ぐらい一緒にやらせてもらっていて、僕にとって一番厳しくて一番尊敬できるお兄ちゃんみたいな人だったんです。何というか、バラバラになっても何となく気になるような存在ではあって。

 当時の印象で、それから錦戸くんがどういう思いで過ごしていたかは知らないけど、やっぱり剥き出しの人だったんです。感情を剥き出しだし、自分に絶対に嘘をつかない人だったなと。無理して自分のやりたくないことをやらない。できないということがあって、それでもグループのためだったり、15周年でファンのためだったりとか、バランスを取りながらすばるくんの分も背負ってやっていた部分もあって、どうしても無理が来てしまって、無理だったのかな

 ———2003年から2011年までの8年間、一緒にNEWSというグループを作ってきたメンバーを慮ってくれた加藤さん。例え、“ジャニーズ”という肩書きは外れても。こんなにも温かい言葉で、その「旅立ち」を見守ってくれる人たちがいること。その事実が堪らなく嬉しかったです。本当に、ありがとうございました。

 

 

 

 今、錦戸さんに伝えたい言葉は山のようにあるけれど。

 今は、最大級の「ありがとう」と、心の底からの「お疲れ様」を言いたいです。

 

 

 

 ジャニーズ事務所所属のアイドル、“関ジャニ∞錦戸亮”として。数え切れないくらいの夢を見せてくれたこと。世界中に溢れている「ありがとう」をかき集めても足りないくらい、感謝の気持ちで一杯です。本当に、本当に、ありがとうございました。

 

 

 「5大ドームツアーを最後にグループから脱退」したということは、どんなに足掻こうともがこうと、もう二度と“関ジャニ∞錦戸亮”には会えない、ということ。彼(彼ら)の中では『十五祭』千秋楽を最後に“6人の関ジャニ∞”は終わっていて、そうなることが分かっていた上で走り切ってくれたことには、頭が上がらないけれど。それでも、それでも。いつも「ありがとう」を貰ってばかりで、何もお返しできていない。「応援していただいた皆様には感謝の気持ちで一杯です」という言葉を残して去っていくのなら、せめてその気持ちに応えてあげたかった。ずるい、ずるすぎるよ。

 

 

 

 ここまで、思いのままにキーボードを打つ指を見守ってきましたが。文字数にすること、ざっと一万字。 自分の頭で考えていることを、文字として目に見える形で整理していく中で。ある言葉を思い出しました。

 

 『エイトレンジャー2』完成披露試写会会見・舞台挨拶にメンバーには内緒で3人の評論家が極秘潜入し、その模様が放送された『ホンマでっか!?TV』。メンバーの行動を徹底的に観察し、隠された人間性が暴かれていく中、退場が早いことは“天性のアイドル”気質と明かされた錦戸さん。「まだもうちょっと見ていたい」「ああ、もう帰っちゃった……」という気持ちを観客に抱かせるのが上手で、しかも無意識の内にできてしまうのだと。ああ。彼は、錦戸亮は、こういう人だったと。やっと、腑に落ちました。

 

 

 どこまでも素直で真っ直ぐで、嘘がつけない人だから。だからこそ、シンプルで飾り気のない言葉だけで伝えてくれたんだと。

 34歳にして「別れ」というものを経験し過ぎている人だから。グループを離れていく側とグループを離れていくメンバーを見送る側、両方とも経験している彼。どちらの立場も分かるから、敢えて何も言わずに去っていくのだと。

  

 

関ジャニ∞錦戸亮として、過ごせる間は精一杯やりたいと思います。」 

 ———ジャニーズ事務所に入所してから21年間。そして、関ジャニ∞のメンバーとして14年間。最後を迎えるその瞬間まで、間違いなく“天性のアイドル”だったよ。

 

 

 愛想笑いもしない(できない)し、思っていることがそのまま顔や態度に出てしまう。そんな彼は、正統派のアイドルではなかったかもしれないけれど。その不器用なところ、人間らしいところも含めて、彼の魅力で。まさに、愛されるために生まれてきた。なるべくして、アイドルになった人なのだと。自信を持って、言えます。

 

 

 

 次は、いつ会えるのか。確実に言えることは、もう二度と“アイドル・錦戸亮”には会えないということ。どうしたって寂しいけれど、時計の針があの頃まで戻ることはないから。

自分が好きな人を見失わないでください。

 ———その言葉が続く限り。勝手に、好きでいさせてください。

 

 

 

 これからの錦戸さんが歩む道が、光輝くものでありますように。

 錦戸さんの未来が、キラキラ乱反射するくらい明るいものでありますように。

 

 

  

 錦戸亮の未来に幸あれ!!!

*1:2012年4月20日放送 TBS系『A-studio』より